「島の時間」


僕は沖縄が好きで今までに何回か旅をしてきました。

 

一番印象深い旅は、19才のときに沖縄を旅したときのこと。

リュックサックを背負って現金11万円を財布にいれて、3週間ほど滞在しました。

 

その旅費には飛行機代も含まれていましたから(20才以下を対象に、キャンセルが出た席を飛行場で安く買うことが出来るシステムが存在したのです)、どうしてそれだけの金額で3週間に及ぶ旅を出来たのか今考えるとちょっと不思議です。

 

沖縄を旅するバックパッカーはもっぱらゲストハウスを利用します。

沖縄には安いゲストハウスが沢山あって、相場は素泊まりで1000円から1500円くらい。

僕がその旅で利用した一番安いゲストハウスは一泊なんと600円でした。

もっともクーラーも扇風機もなく、ただ二段ベッドがあるだけでしたが。

 

そんな貧乏旅行でしたが、沖縄本島、久高島、石垣島、そして果ては与那国島まで旅をしました。

 

久高島の人々には本当にお世話になり、那覇ではバックパッカーと遊んだり、石垣島では旅で知り合った仲間たちと美しいサンゴの海で泳ぎました。

また遠く与那国で見た海の青さは、この世にこんな青が存在するのかと思うほど美しいものでした。

宮古島から本島に戻る船旅では、船長が気を利かせてくれて、操縦室を見せてくれるという一幕もありました。

温かい沖縄の人々と、美しい海の景色を見て、「ああ、沖縄が日本にあってよかったなあ」と心底思う旅でした。

 

なかなかあんな旅は出来ないけれど、手元に一冊大好きな沖縄の写真集があって、それを見ては沖縄を旅しているような気になります。

 

その写真集の名前は「島の時間」。撮影者は山下恒夫さんという方。

  

三線を弾くおばあとおじいの笑顔、島の防波堤で夕日を眺める少女、海で戯れる少年たち、少し朽ちた離島の散髪屋、御嶽と呼ばれる祈りの場所で先祖の霊を迎える古老の姿。

そんな生活になじんだ写真をみると、沖縄の人々のゆったりとした暮らしぶりに心が和み、19才の時に出会った沖縄を思い出します。

 

ああ、また沖縄に行ってみたくなりました。