ギター教則本。

 

世の中にはギターの教則本が、本当に数多くあります。

エレキギター、アコースティックギター、クラシックギター。

それぞれに、実に様々な著者が記した教則本があります。

特にギターを「独学」する人にとって、教則本はギターの演奏能力を向上するために大変有効なものです。

しかし、あまたある教則本全てがギタリストにとって役に立つかといえば、必ずしもそうではないと僕は思います。

 

目指すべき目標があるとして、それに到達するためにどういったアプローチが可能かをまず設定してから本を選ばないと、まったく違った山に登ってしまうということもありえます。

 

このことを踏まえて、僕が役に立った(立っている)教則本を2つご紹介したいと思います。

 

まずはじめに、画面右手のもの。

・トモ藤田「耳と感性でギターが弾ける本」リットーミュージック

 

トモ藤田さんは現在アメリカの音楽大学バークレーで教鞭を取られているギタリスト。かのJohn Mayerの先生でもあります。 

この本の優れている点は、ギターという楽器をどのように捉えていけば良いのかを、土台からはっきりと掴むことにポイントが置かれている点です。

 

ギターを弾くうえで欠かせない「運指の基礎」、「リズム感」、「音感」の3点を、具体的・身体的に身につけていくためにはどういった練習が可能なのかがはっきりと分かりやすく書かれています。

 

例えば、まずエレキ・ギター(この教則本はエレキギタリストが対象です)を弾く前に、ギターやアンプの設定がしっかりとされているかと書かれています。

 

実はこういったことは、ほとんどの教則本では書かれていません。いきなり五線譜orTAB譜が書いてあってコピーしていくというものがほとんどですから。

いくらギターのソロを速く弾けても、ギターやアンプのセッティングがお粗末では話になりません。このことを知ったときはまさに慧眼を開かれる思いでした。

 

そして、運指の練習。クロマチックに半音ずつに上がっていく練習が主体となっているのですが、そこにアフタービートのリズム(bpm=50ぐらい)に乗せてという条件が付けられています。ものすごく地道な作業を続けていくことになるのですが、やり終えたあと本当に運指がスムーズになります。実際に僕も運指がスムーズになっていくのを実感しましたし、少し運指が乱れてきたりするとこの練習法をまず最初にやります。

 

音感に関しては、まずトライアド(三音からなる和音)に中心が置かれています。

音楽は俗に「ド・ミ・ソ」が基本とされていますが、その「ド・ミ・ソ」をギターの場合どのようなポジションで演奏できるか、それを自由に使いこなすことが出来るかを説明されています。

 

トライアドを制覇するというのは、本当に重要なことで、7thや9thを覚えるよりもまず第一にトライアドをいろんなポジションで弾くことが後にテンションコードを覚えていく上で重要になってきます。

和音の基礎となる部分をこの章で徹底的に知ることで、コードの音感を身につけることが出来ます。

 

そして、「ブルース」の重要性がこの本では解かれています。ブルースとは12小節からなる、音楽のひとつの形(フォーマット)なのですが、ロックやファンクを演奏する人でもこのブルースを身につけていないと、本当の意味での「音楽的なギター」を演奏することは出来ません。トモ藤田さんが、ブルースのお手本として上げているのがB.B.King。ブルース・ギターの王様のようなギタリストです。

例として「Every Day I Have The Blues」を完コピすることを挙げられていますが、

簡単に聞こえるようでも、B.B.Kingのフィーリングまでもしっかりとコピーしようとすればかなりの鍛錬が必要になります。(僕も実際にやってみましたが、難しかった!)

 

最後に、音楽に対する姿勢が書かれています。

音楽を「消費」するのではなくて、ストックとして「自分のなかに貯めていく」ような聞き方をすること。本当に重要なことです。

 

僕がこの本に出会ったのは本当に幸運で、この本のおかげでアコースティック・ギターを専門としていながらも、エレキギターからギター音楽を捉えるというアプローチが可能になりました。

 

ちなみにトモ藤田さんは京都市出身。

そんなところにも親近感を感じていたのかも知れません(笑)

 

 

一方、画面左手の本は日本を代表するスタジオ・ミュージシャンの梶原順さんによるものです。

 

・梶原順「1年後、目指すギタリストになれる練習法 一生、音楽と向き合っていくために」リットーミュージック

 

この本で書かれていることはズバリ「音楽とはなんだろう!?」というすごくシンプルな問いです。日頃僕たちが接している音楽、(それは本当に多種多様なものがあるのですが)、その音楽の定義とは一体なんなのだろうという点からこの本はスタートしています。

 

梶原順さんは文中でこのように述べられています。

 

「音楽は時間と同時に進行する芸術、もしくはエンターテイメントだ」(p.11)

 

つまり音楽とは、「時間」と密接な関係にあるということです。

聞き手と送り手(ミュージシャン)がいて、ミュージシャンが演奏する時間を聞き手とミュージシャン両者が共有することによって初めて、音楽というものが成立する。

そんな一見当たり前のように思えることの重要さを梶原順さんは書いています。

 

そして、その音楽という至福の空間を作り出すために、日ごろどのように音楽またはギターと接していけばいいのかということを、順序だてて梶原さんは書いておられます。

 

特に、この本で強調されているのが「リズム&グルーブ」。

リズム感を養うことがまず音楽家であることの第一条件であると梶原さんは主張しておられます。

そして、「ソロ」よりも「バッキング」を重視する音楽の聞き方を書いてあります。

 

ギタリストの旨みとしてはやはり、(特にエレキギターでは)「ソロ」がなんといっても一番の醍醐味です。みんなの注目が一手に集まり、バンドが一番盛り上がる瞬間。

しかし、その裏方であるバッキングに、実は沢山の演奏のヒントが詰まっているということです。

 

バッキングをちゃんと鳴らせないと、美しいソロは弾けない、ばかりか、演奏そのものを台無しにしてしまう可能性があります。

 

「セッションに行くならまずはバッキングから!」

 

この姿勢はとても大切だなと思います。

 

そして、ここからが梶原さんの優しい人柄がとても現れている部分だと思うのですが、

「フィーリング」を養うことの大切さを述べられています。

 

美しい演奏をするならば、美しいものを見て美しいと思う気持ちが大切なんだ!

映画や絵画、小説を読んだりして感動したことを、

ギターや音楽にどんどん還元していこう。

そして「感性」をどんどん磨いていこうと梶原さんは書いておられます。

 

これ、ほんとに大切なことだと思います。

 

音楽って字のとおり「音を楽しむ」もの。

まちがっても「音が苦」にならないように(笑)、

いつも感情が喜びにふれるようなライフスタイルを身に付けていこうと書かれています。

 

プロミュージシャンとして沢山の経験を持っておられる人だから

この言葉にとても重みを感じます。

 

やっぱり音楽は楽しまなくちゃ!

 

この梶原さんの本はテクニックや音楽理論についてというよりも、

「どうやったら音楽をもっともっと楽しいものに出来るか」

ということに特化して書かれているように思います。

 

だから、何かに煮詰まったときにすぐこの本を開けば、

音楽をやるうえで気持ちがすっと楽になってくように感じます。

 

 

 

長々と書いてしまいましたが、僕が大切にしている教則本を紹介しました。

 

やっぱり音楽は楽しまなくちゃね!

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    seks tel (水曜日, 01 11月 2017 00:42)

    buziunia